ホールシステムアプローチの考え方

組織開発(Organization Development,OD)における新しいアプローチとして「ホールシステム・アプローチ(Whole System Approach)」の活用が広がりつつあります(注1)。多数の関係者が集まって、現状や課題、未来について話し合っていくこのアプローチは、大集団への介入(Large Group Interventions)とも呼ばれており、「アプリシエイティブ・インクワイアリー(Appreciative Inquiry,AI)」「オープン・スペース・テクノロジー(Open Space Technology,OST)」「フューチャーサーチ(Future Search)」「ワールド・カフェ(World Café)」などの手法が含まれています。

ホールシステム・アプローチは、ありたい姿を描き、組織や人の強みにフォーカスすることから、従来の問題解決型アプローチと対比させてポジティブ・アプローチとも表現され(注2)、変化が激しく複雑性も高まっている現代の組織環境に適した手法として日本での関心も高まっています 。このホールシステム・アプローチには、共通して以下のような特徴があると言われています(注3)。

  1. ダイアローグがベース
  2. 社会構成主義の考え方が基盤
  3. 幅広い関係者の参加
  4. 参加者の自主性・自律性を重視
  5. ポジティブ発想の姿勢
  6. 全体脳の活用

ダイアローグ(対話)そのもにについて、いくつかの手法については、別記事にて後日紹介いたします。

(注1)ホールシステム・アプローチの手法の多くが1980年代に開発され、1990年代中盤以降にアメリカでの活用が広がり始めました。
(注2)それぞれ診断型ODと対話型ODと呼ばれることもあります。
(注3)香取一昭・大川恒(2011)『ホールシステム・アプローチ』日本経済新聞出版社.

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